東野圭吾 容疑者Xの献身
東野圭吾を読んだ。
- 東野 圭吾
- 容疑者Xの献身
今さらではあるが、直木賞受賞ということで、以前から読みたいと思っていたが、ようやく読むことができた。
以下アマゾンの紹介。
数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ
天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか
(以下ややネタバレ注意)
こう読むとすごく平凡に見えるが、決して平凡な推理小説ではないと思う。
まずストーリーが面白い。夢中で引き込まれる力を持っている。
最後のトリックがシンプルなため、読後感は爽快。最初から最後までぐいぐいと読める。
ただ、この小説が推理小説の枠を超えていると思うのは、
その心理描写の巧みさにあると思う。
この小説にこめられた一番の謎は犯罪の物理的なトリックではなく、石神が「なぜこの犯罪を犯したのか」にあるからだ。
石神の持つ女性に対するコンプレックス、育ちに対する複雑な思い、論理的なものに対する信頼感。
東野氏がこの点を最後まで描ききっているとは思わない。が、だからこそ読み応えのある、読み終わっても記憶に残る一冊になっているのではないか。
読んでいるときは夢中で読め、読み終わった後に奇妙に心に残るものがある。
個人的にはこういった小説は「ドストエフスキー型小説/作家」と読んで推奨していきたい。